男性型脱毛や円形脱毛症の他に、脱毛するといえば、抗がん剤投与後と出産後が有名です。
今回は、なぜそれらによって脱毛が起こるかのメカニズムをご紹介します。
抗がん剤で髪が抜ける訳
ガン細胞とは、増殖速度のコントロールが効かないほど猛スピードで分裂を続けています。ガン治療に使う放射線や抗がん剤は、このように細胞分裂のスピードが激しい細胞だけを殺す作用があります。
一方で、毛母細胞は、正常であってもさかんに細胞分裂をおこなっています。
だから、抗がん剤や放射線が作用してしまい、ガン細胞と一緒に殺されてしまうのです。
それでも、全滅した訳ではないので、やがて新しく毛母の形成を促し、毛が生えてくるので心配はいりません。ただし、強力な放射線を浴びて幹細胞まで死んでしまうと、二度と毛は生えてきません。その為、昔は永久脱毛に使用されていたようです。
ガン治療で毛が抜けない方法がある?!
放射線や抗がん剤で毛母細胞が死んでしまうのは、プログラム細胞死がひきおこされているためだとされています。
しかし、細胞の温度を下げて代謝を下げると、細胞が死ぬプログラムをキャンセルできるのだそうです。
これを活かし、頭部を氷などで冷やして抗がん剤などによる脱毛を防ぐケアもあるようです。
出産後に髪が抜ける訳
出産を経験した多くの女性が、出産後3〜4ヶ月後の脱毛に悩んだことがあるのではないでしょうか?
これは分娩後脱毛症といい、女性ホルモンが大きく影響しています。
女性ホルモンには、毛周期の中の「成長期」を「延長させる」というはたらきがあるのですが、妊娠中持続的に分泌される女性ホルモンのため、本来なら休止期に入るはずの毛包も成長期にとどめてしまうのです。
そのため、出産後女性ホルモンの分泌が急激に下がると、一気に休止期に入る毛包が増え、大量の毛が抜けてしまうのです。
いずれも、また生えてくるタイプの脱毛なので、メカニズムさえ知っていれば心配することはありませんね!要はそれによって深く悩まないことが大切です。
※参考文献 毛髪を科学する 松崎 貴著
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