皮脂、つまり脂っぽい頭皮は毛髪の成長によくないという風潮があります。しかし、これは本当でしょうか?美容業界では頭皮の環境を整えることを推奨していますが、医学的分野ではどうでしょう?頭皮の皮脂と薄毛についての研究を見てみましょう。
男性型脱毛症の人の皮脂は多かった?
今から50年ほど前の1968年に、アメリカの研究者が男性型脱毛症を発症した人と、そうでない人の頭皮から皮脂を吸い取り、皮脂量の差を調べています。
これによると、頭皮の皮脂産出量に意味のある差は見られませんでした。時間が経過しても皮脂の量は変わらず、男性型脱毛症における頭皮の皮脂生産量は増えていないという結論となったようです。
一方、別の研究では男性型脱毛症の人は皮脂腺のサイズが大きいという指摘があります。しかし、皮脂腺が大きくても産出する皮脂量には差がないというのです。
脱毛させるのは皮脂が変化した物質?
日本の研究では、マウスの背部皮膚に過酸化脂質を塗り、毛周期がどのように変化するかを調べました。尊脚気、過酸化脂質を塗ったマウスは、休止期が早く訪れたそうです。
このことから、過酸化脂質は毛周期を休止期に移行する効果があるのではないかと推測されます。
過酸化脂質とは、頭皮の皮脂に紫外線が当たることで生じるものという想定されていますが、日光によって過酸化されるのは1%未満であるともされています。
動物での実験ですので、ヒトに対しても有効化は議論の余地がありますが、皮脂そのものが薄毛と直接関わっていると考えるのは少し違うのかもしれません。
皮脂と薄毛は脂漏性皮膚炎に関係あり?
皮脂が直接薄毛に関連していないかもしれないことはわかりましたが、脂漏性皮膚炎は脱毛を伴うと思われます。
脂漏性皮膚炎は皮脂の多い部位に起こるため、男性型脱毛症と合併する脂漏性皮膚炎では、皮脂が原因と言えるでしょう。
男性型脱毛症の双子を研究したデータによると、双子のうちフケのある方が男性型脱毛症が重症であることもわかっています。大きくウロコのような白いフケが出るようでしたら、脂漏性皮膚炎を疑った方がいいかもしれません。
頭皮の皮脂が多いのは、薄毛になりやすいと思い込んでいる人は多いと思います。しかしながら、色んな研究で皮脂と脱毛の直接の原因は認められていないようです。脂漏性皮膚炎と脱毛は深い関係があるので、心配な人は皮膚科を受診してみましょう。
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