円形脱毛症の治療は、どのように行われるのでしょうか?
円形脱毛症の特徴として、自然軽快する患者が多いため、治療の有効性を評価するのが難しいことがあります。一般的な診療ガイドラインをご紹介します。
円形脱毛症の治療方針
円形脱毛症の治療方針を立てるのは、皮膚科医にとってとても難しいと言われているようです。前述したように、円形脱毛症は自然に治ることも多く、患者さんによって多種多様なのが現実で、どの方法が一番ふさわしいかを選択するのは困難なのです。
そこで日本皮膚科学会では円形脱毛症の治療に日本の標準を作る必要があるとし、2009年に専門医による治療ガイドラインを作成したそうです。
日本における円形脱毛症の治療ガイドライン
日本においての円形脱毛症の治療ガイドラインは、どのように作成されたのでしょうか?
国内外のあらゆる文献、アロマテラピー、漢方治療など、過去に円形脱毛症治療として行われた方法をすべて検証し、科学的根拠や信頼性を評価して行われました。
一方、アメリカではすでにガイドラインが作成されており、これまでの病型分類に加え、脱毛面積から重症度を五段階に分類しているようです。
その予後に関しては次の項でご紹介します。
治療ガイドラインの予後
日本では、アトピー性疾患や内分泌系疾患がなく、脱毛箇所が少数で個々の脱毛継続期間が1年程度である場合、ガイドラインに沿った治療によって約80%の患者が1年以内に回復したことが報告されています。
しかし、残念なことに再発するケースもよくあるようです。
また、欧米では34〜50%の患者が1年以内に回復、15〜25%は全頭型や汎発型の円形脱毛症へ移行したという報告もあります。この場合、回復率は10%以下と考えられているようです。
17年間にわたる経過観察によると、成人では脱毛面積が50%以下の場合は56%が回復し、より広範囲の脱毛面積の場合は回復率は3.7%というものでした。
このことから、単発型や多発型でも脱毛箇所が少なく、発症1年以内なら経過観察だけでも回復する可能性が高いことがわかります。また、全頭型や汎発型の場合は、治療の効果を期待するより、医療用カツラの着用などを考えた方がよいかもしれないということになります。治療をすべきかどうかも検討の余地がありそうですね!
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