精神的ストレスで発症すると多くの人が思っている円形脱毛症ですが、その症状も原因も長い間不明とされていました。ところが、近年になって、新しい遺伝学的手法を用いた円形脱毛症の病態の一部が明らかにされたというのです。ちょっと難しい話ですが、ご紹介していきます。
円形脱毛症の誘因となる背景
円形脱毛症の病態は、遺伝的背景が何らかの誘因によって自己免疫反応として現れるものだと思われてきました。しかし、円形脱毛症はある特定の遺伝子だけが関係しているのではなく、複数の因子によるものとも言われています。
集積した患者のゲノム解析をしたところ、腫瘍免疫や病原微生物に対する免疫応答にかかわるナチュラルキラー細胞の受容体に、円形脱毛症の発症に関係しているのではないかと示唆されています。
さらにマウスを使った実験で、さまざまな可能性が指摘されていて、今後の円形脱毛症の原因追及と、治療の発展に大きな期待が持たれます。
新しい治療法は見つかる?
これまではPUVA療養やエキシマライト療法といった、光線治療を円形脱毛症の治療にあてるアイデアはありました。特に、エキシマライト療法は効果があるとする研究結果も多く見られますが、残念なことにまだ症例の数が少ないようです。
また、免疫抑制の効果より、液体窒素療法などの物理的刺激の方が、休止期になっている毛髪を活性化する可能性もあるそうです。
円形脱毛症は、その原因もまだ特定には至っていないため、治療法もまずはその原因から探る必要があるようです。
インフルエンザで円形脱毛症が悪化?
衝撃的な報告ですが、インターフェロンが円形脱毛症に関係しているとする所見もあります。それは、インフルエンザなどのウイルス疾患にかかった後に、円形脱毛症の症状が悪化することが報告されているからです。
患者さんにしてみれば、できる限り症状をよくしたいものですが、これには、インフルエンザなどウイルス疾患にかからないよう予防するしかないようです。特にこれからの季節は、予防接種を受けたり、手洗いうがいを励行するなどして予防しましょう。
自然に治ることも多い円形脱毛症ですが、その症状も原因も人それぞれなのですね。だからこそ、決定的な治療法も見つけにくいのでしょうが、最近の研究に期待がかかるところです。
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