現在の脱毛治療は、外用薬、内服薬、毛包移植、医療用カツラといった方法があります。
しかしながら、脱毛や発毛のメカニズムはまだまだ解明されていないことが多く、各機関では日夜研究が行われています。今の治療をさらに進化させた、未来の脱毛治療とはどういうものでしょうか?
毛包移植の限界
現在の毛包移植は、自分の毛のある後頭部から切り取った皮膚を株分けし、脱毛した部分に移植するものです。確かに薄くなった部分の髪を増やすことができますが、髪の毛の全体数が増える訳ではありません。後頭部の毛は減ってしまいますし、2〜3回切り取れば限界を迎えてしまいます。つまり、毛包移植は今ある髪を、薄いところに分けるもので、根本的に髪が増える方法とは言えないのです。
そこで、髪の毛を作る細胞を試験管の中で培養し、それを本人に戻すという再生治療の研究が始まったのです。
毛包の幹細胞を使って髪を再生させる?
再生医療には「幹細胞」の存在が欠かせません。髪の毛を作る大元になるものだからです。
例えば、火傷を負った場合、表皮がなくなっても毛包幹細胞から表皮細胞に供給されて皮膚を再生させます。ところが、毛包幹細胞を培養して毛のないマウスに移植しても、表皮は再生するのに毛包はできないのです。
火傷を負ったヒトでも実験されていますが、やはり表皮は再生するのに毛包はできなかったと言います。毛包幹細胞が必ずしも毛包に再生するとは限らないのです。
では、毛包を再生させるには、何が必要なのでしょうか?
鍵を握る毛乳頭細胞
毛包幹細胞が毛包に再生されるためには、毛乳頭細胞が関わっています。ラットの実験では、本来毛のない足の裏に毛乳頭を移植し、発毛させることに成功しているそうです。また、短期間培養した細胞でも、新しく毛を作ることができたと言います。
ヒトの毛乳頭細胞でも、マウスでの毛包誘導実験に成功しているようです。
つまり、毛乳頭細胞を加え、毛包幹細胞を使えば毛包再生ができ、毛が生えてくるようにできるのではないかということです。
しかし、これを現実の医療に実用化するにはまだまだ試行錯誤は必要で、色々な問題を解決しなければなりません。
現在、アメリカ、ヨーロッパ、日本など世界中で研究が進められているところです。
髪を再生させる治療ができれば、本当の意味で髪を増やすことができますね!各国で研究が続けられているので、実用化が待たれます!
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