哺乳類の中でも、ヒトの体毛の生え方は特殊だということがわかってきましたね。
しかし、ほとんど全身の体毛を失ったのに、どうしてヒトの頭部にだけは毛が密集して生えているのでしょうか?
残った毛の役割
哺乳類の毛の役割の中に、個体の識別やなわばり主張のため、またはフェロモンといった「ニオイ」に関するものがあります。ヒトにも第二次性徴で脇や陰毛が生えますが、これはニオイ物質を出す汗腺であるアポクリン腺のあるところに毛が生えているとも言えます。
つまり、ニオイを溜めておく機能が毛にあるという見方ですね。
しかし、現代では洋服や香水を自由自在に作り出し、身につけられるため、退化していてもいいのでは?と思いますが、毛が失われる進化の段階ではまだそのような文化が生み出されていなかったからかもしれません。
排泄器官としての毛髪
覚醒剤の使用を調べるのに髪の毛を使うことはご存知でしょうか?これは、髪の毛を先端から根元へたどることでいつどんな物質が取り込まれたかを知る技術があるためです。
ということは、髪の毛には体内に取り込んだ有害物質をため込む機能があるのではないかと考えることができます。
髪の毛の先端にいくほど、古い情報が残っており、環境汚染や病気、覚醒剤といった薬物使用の経歴を知ることができるのです。
近代の髪の毛の役割
理容や美容の発達により、現在のヒトは髪の毛はお洒落やファッションの一部として捉えています。だからこそ、薄毛になると外見のことで悩む人が多いのでしょう。
元々の黒髪を金色に染めてみたり、パーマをかけて形を変えてみたりと、ヘアスタイルや色によって自分をよく見せたり、個性を表現したりしているのですね。
国や時代によっては、髪型で身分や既婚の区別をしていたこともあります。
このように、自分の身体の一部を自由に変化させて自分を表現するというのは、他の動物にはないことです。この観点でいうと、現代のヒトの髪のアレンジは、まったく新しい毛の機能ということができるでしょう。
髪の毛が排泄器官とは驚きですね!そして、科学の力が髪の毛を他の動物にはない表現方法として使えるようにしたのですね。
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