育毛、発毛、増毛……、いろんな言い方はありますが、実はどれも明確な使い分け、区別はありません。
定義さえあいまいで、科学に基づいた診断や治療を行う病院とは違い、それぞれの業者が独自の育毛剤や施術を行っているのが実情です。被害にあっているケースも多いので、ご紹介いたします。
国民生活センターに寄せられた苦情
以前は男性型脱毛症のメカニズムがわかっておらず、診られる皮膚科医も少なかったため、薄毛で悩む人は、こうしたサロンを訪れ、被害に遭うケースが多くありました。その内容は、
・医学的根拠もないのに、「○○脱毛症」などと診断をされた。
・「必ず髪の毛が生える」「必ず元通りになる」など、不適切な勧誘があった。
・ヘアケア商品を次々に勧められ、高額な契約になる。
・長期間の契約を途中で解約しようとしても、商品が納入済みであることを理由に、返品・返金を認めてもらえない。
など、女性におけるエステサロンでの勧誘、契約のトラブルになるケースと似ています。人の足下を見るような、悩みにつけ込む勧誘には気をつけましょう。
サロン契約の注意点
エステティックサービスには特定商取引法での規則があり、例えば中途解約における支払い額の上限が決められています。
しかしながら、育毛サービスに法的規則はないのが現状。そこで「日本毛髪業協会」がクーリングオフ制度や中途解約に関する自主基準を定めました。
「絶対治る」「このままではもっと抜ける」といった、治癒を約束するもの、不安を煽る表現があった場合、契約の取り消しができることになっています。
しかし、日本毛髪業協会に加盟していない業者もあり、「言った言わない」の問答になるケースもあるようです。
契約内容をよく確認し、特に数ヶ月の契約を求められたり、商品をたくさん勧められたりした場合は、要注意です。
現在は、皮膚科や脱毛症外来が病院にありますので、サロンだけでなく、病院も選択肢に入れてみましょう。
いつの世も、悪質な業者はいるものです。どうしても髪の毛を生やしたいからと、知識がなければ言いくるめられて、何の効果もないものに高額の支払いをすることになってしまいます。
※参考文献「毛髪科学最前線」
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