毛包とは、哺乳類の毛を作り出す皮膚の付属器官です。
この器官があり、遺伝子に情報が組み込まれているおかげでヒトを含めた哺乳類に毛が生えるのですね。
では、その毛包自体ができる仕組みを詳しく見ていきましょう。
胎児から始まる毛包の形成
赤ちゃんは、生まれた瞬間から髪の毛やうぶ毛が生えていますよね。当たり前ですが、それは、毛包という毛を作る器官がお母さんのお腹の中にいる胎児の時から働いているということです。
しかしながら、発達のある時点では毛はまだ生えていません。それは、毛を作る器官である毛包が、皮膚から作られているからです。
ヒトの場合は妊娠期間が長いため、胎児の時にすでに何度か毛が生え替わると言いますが、一体どのようにして毛を作り出す器官である「毛包」ができていくのでしょうか。
皮膚の一部から「毛芽」が誕生
ヒトの胎児での研究は難しいため、主にネズミの胎児で研究が進められていますが、その研究によると、はじめ胎児の皮膚は2〜3層の表皮しかないそうです。
やがて皮膚の一部で細胞分裂が活発になり、真皮層(奥)側にふくらみはじめます。これが「毛芽」です。
毛芽ができはじめると、その真下に線維芽細胞が集まりだし、周囲の組織とはっきりと境界を作り始めます。
これが集合体となったら、毛芽は急速に伸びて毛の組織として分化し、毛包となるのです。
毛包形成に必要な相互作用
このように、元々皮膚だった場所にまったく違う組織ができるには、毛芽細胞と真皮集塊との相互作用が重要になってきます。毛包ができる時だけでなく、歯や肝臓といった、いたるところで組織や器官が作られる時に必要なものなのですね。
毛芽が伸びる時は、真皮のコラーゲンが進行の邪魔になってしまいます。そこで真皮集塊の細胞は、コラーゲン分解酵素を出して壊し、毛が進む道を作ると言います。この時の進む方向が一定なので、わたしたちの毛は同じ方向に生えているのです。
これらすべて、遺伝子にプログラミングされたものだと思うと、すごい仕組みと言わざるを得ません。
このようにして皮膚から毛包が、そして毛髪が生み出されていくのですね!
同じように皮膚だった部分が変化して、毛包になり、そこから毛が生まれていくのですね。このメカニズムは薄毛にも役立つため、現在研究が進んでいます。
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