わたしたちが「髪の毛」と呼んでいるのは、実は皮膚から出た部分だけです。
実はこの髪の毛、死んだ細胞であることをご存知でしたか?
では、死んだ細胞がなぜ伸び続けるのか、なぜ身体に留まっているのか、そのメカニズムをご紹介しましょう。
毛髪の構造
まずは、髪の毛の構造を見ていきましょう。
髪の毛を輪切りにしてみると、3層から成っています。
一番内側が「毛髄」で、泡が固まったような形をしており、内部はスカスカです。実は欧米人の髪の毛にはこの毛髄がほとんどないと言われており、まだ毛髄の役割や機能が解明されていないのです。
毛髄の外側にある「毛皮質」は、毛髪の大半を占めます。そして一番外側に「毛小皮」が覆っています。この毛小皮が、いわゆるキューティクルで、タケノコの皮のような、魚のウロコのような形状をしています。
毛髪は何でできているの?
毛髪の構造はわかりましたが、実際にはどんな成分でできているのでしょう?
それは、ケラチンというタンパク質です。毛髪が作られる段階でケラチン分子がビッシリと結びついて、毛髪に性質を与えます。
いわゆる、髪のコシや柔軟性というのは、このケラチンによる訳です。
どうして髪は伸びるの?
髪の毛は死んだ細胞のはずなのに、どうして伸びるのでしょうか?
死んだ細胞というのは、角質化した細胞のことで、活動期を終えたものという意味。皮膚であれば、角質かした細胞はターンオーバーによって剥がれおちるのですが、髪の毛は生え替わるサイクル(毛周期)が2~6年と長いからです。
この間、毛根でどんどん作られる細胞により、どんどん押し上げられていき、髪の毛が伸びるのですね。
髪の毛はどこまでも伸びるの?
ヒトの髪の毛は、一般に1日0.3~0.4mm伸びると言われています。伸びる速度は、部位によって多少差があるとされ、頭頂部が一番早く、次は側頭部なんだとか。
個人差ももちろんありますね。単純に計算すると、髪の毛は1ヶ月に1cm程度、1年で12cm程度伸びることになりますが、どうして伸び続けないのでしょうか?
これの答えも、毛周期というサイクルがあるからなのです。死んだ細胞である髪の毛でも、毛根が生きて活動している間は伸び続けますが、毛根に寿命が来て、新しいものと入れ替わる時には抜け落ちます。
このサイクルの間に伸びるだけしか、髪の毛は伸びないということになります。
髪の一生、サイクルをみていくと非常に面白いですね!目に見える毛の部分は、死んだ細胞だったなんて、驚きです。
死んだ細胞なのだから、必要以上に傷めないように気をつけて大切にしていきましょう。
※参考資料「毛髪科学最前線」P26-28
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