これまでに、毛の長さや生える場所、方向はどうやって決まるのかをご紹介してきましたが、では毛の「太さ」はどうやって決まるのでしょう?ここでも「パピラ」が大きく関わってきます。
「パピラ」って何?
本題に入る前に、「パピラ」とは何かを復習しておきましょう。簡単に言うと、毛の大元となる毛母に囲まれているのが「パピラ」で、別名「毛乳頭」と言います。「毛乳頭」と言われると、ピン!と来る方がいらっしゃるかもしれませんね。発毛の一番基礎ともいうべき、毛包組織の増殖と分化にもっとも重要であると言われている細胞なのです。
毛の太さを決めているのは、何?
ファン・スコット博士とエッケル博士による発見「毛母:パピラ=9:1」と、イブラヒム博士とライト博士によるネズミの毛の太さとパピラの大きさにある相関関係の発見によって、毛の太さを決定づけるものがわかりました。
それが、パピラの体積が多いほど、太い毛が生えるという発見です。つまり、大きなパピラを持つ毛包からは太い毛が生え、小さなパピラからは細い毛しか生えないのです。
パピラの大きさは、変化する?しない?
では、毛の太さはいつも同じでしょうか?通常であれば、以前と同じ太さの毛が生えてきます。しかしながら、思春期や加齢によって毛が太くなったり、逆に細くなったりしますよね。
これによって、毛周期の休止期と次の成長期が起こる時に、パピラの量が変わるのではないかと考えられています。つまり、成長途中の毛の太さが、自然に抜け落ちる前に変わることはない、ということです。
パピラを増やせば、毛が太くなる?
単純に考えると、パピラが増えれば太い毛が生えてくることになりますね。ですが、パピラ細胞は生体中ではほとんど増殖しないこともわかっています。ところが、培養液に表皮細胞由来の液体を加えると、パピラ細胞が活発に増え始めるというではありませんか!
この物質がなんであるか、明らかになれば、痩せてしまった髪も、また太くすることができるかもしれませんね!
毛の発生の肝であるパピラは、なんと毛の太さにまで関わっていたのですね!毛が痩せたりする原因もパピラとは!早く解明され、実用化されるといいですね。
※参考文献 毛髪を科学する 松崎 貴著
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