哺乳類にしか毛は生えていないことがわかりましたが、では毛は何のためにあるのでしょうか?
普段ムダ毛と思っている毛にも、立派な機能があることがわかります。5つの機能をご紹介しましょう。
保温と保護
髪が背中を覆うほど長い人は実感したことがあるかと思いますが、毛はかなり温かいです。哺乳類は恒温動物なので、いつも体温を一定に保つ必要があり、そのために体内で熱を発生させています。
ところが、せっかく発生させた熱も、毛がなければすぐに奪われてしましますね。だからこそ、体表面に空気の層を作り、断熱できる毛で覆ったと考えられています。
また、毛は皮膚から一定の方向を向いて斜めに生えています。これは、水に濡れた際に一定方向に水を流し、体温が低下するのを防いでいるのです。
そして、夏には太陽の熱から守り、有害な紫外線から守るといった保護の作用があります。もし毛がなかったら、哺乳類は哺乳類として生きていくことができませんね。
保護色とセンサー機能
第三に体毛は色んな色や模様をしていますが、外的や獲物に見つかりにくくする保護色の役割をしています。
季節によって環境の背景色が大きく変わる土地では、夏毛と冬毛のように異なる毛を生やしているのです。
例えば寒冷地方のアザラシなどは体毛が目立ちませんが、陸上で生活している子どもの頃は茶色や灰色の体毛ですが、成長すると真っ白な毛が生え、雪の中で目立ちにくくなります。
四番目のセンサー機能というのは、毛の根元の神経に、毛が触れるたびに刺激が脳に伝わるというもの。猫のほおヒゲなどはまさにセンサーで、空間を把握して狭い隙間を通り抜けたり、暗闇の中で行動できたりするのですね。
コミュニケーション機能
哺乳類にはアポクリン腺とエクリン腺という2種類の汗腺があります。このうちアポクリン腺は毛と共に存在し、ニオイ物質が分泌されます。このニオイで個体を識別したり、なわばりを主張したり、異性を誘うフェロモンのような効果をもたらしたりしているのです。
毛と一緒にあるのは、ニオイを溜め、拡散させるのに都合がいいからです。
ヒトの場合はわきや陰毛にしかアポクリン腺は見られませんが、逆にここに毛が生えていることは不思議ではないということですね。
毛には5つもの働きがあるのですね!哺乳類とはいえ、ヒトは随分他の動物と違う点も興味深いです。
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