哺乳類は、生活する環境で毛の有無が変わる
私たちヒトの祖先が森から離れ、草原での生活に切り替えたころ、何らかの原因による突然変異によって体毛がなくなったと言われています。ですが体毛がなくなったことで、何ひとつと不自由がなかったため、現在に至っているという説があります。
ヒトは体毛がない分、皮下脂肪やエクリン腺を発達させて断熱効果や冷却効率を高め、体毛のないデメリットを排除しました。
しかしヒトは特殊な毛(動物にある頬ヒゲなど)は無くしましたが、全ての毛を無くしたわけではなく、毛の接触センサー機能は残っています。
毛が感情を表す???
毛の接触センサー機能とは?と思われる方も多いかと思われますので、ひとつ例をあげてみたいと思います。
これは、特に女性や子供に多く感じられると思いますが、好きな人から髪の毛や肌に触られたり撫でられたりすると、とても心地よい気分になるのに対して、嫌いな人に触れられると背筋がゾワッとしたり、鳥肌がたったりしますよね。
それは感情と毛の動きが密接に関係しているからです。毛の一本一本が接触センサーのように神経が伸びており、感情のバイブレーターになっているのです。
そのほかにも毛は、排泄器官としての役割があるという研究者もいるようです。
よく薬物犯罪や毒殺などの犯罪で髪の毛から、ヒ素や水銀といった有毒物質が検出され
た。薬物使用の経歴がわかったなどと耳にすることは多いと思います。
それは髪の毛が、体内に入った有毒物質を減らす役目をしているのではないか考えられているからです。
今世に生きるヒトの毛は、体毛のある動物にはみられない役割が出てきました。
髪の形を変えることで、自分を格好良くみせたり、個性を主張したり、時代によっては、侍のちょんまげや中国の辮髪、インディアンのモヒカンなどのように、種族や身分の違いを表したり・・・と。
このように体の一部を変え、感情や行動を表現し、コミュニケーション能力を高めて役立てるのは、他の動物には出来ないヒトだけがもつ毛の新機能といえます。
参考文献 毛髪を科学する 松崎 貴著 10~12頁
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