毛包は、ほ乳類の皮膚付属器官で、毛を産出するのに欠かせないものです。
これを人工的に再生させることができれば、薄毛で悩む人に大いに明るいニュースになりますね!
最近、アメリカの研究グループから、大変興味深い結果が報告されたのでご紹介しましょう。
ほぼ完全な毛包構造が再現?!
アメリカの研究によると、幹細胞などではない普通のヒトケラチノサイトとヒト毛乳頭細胞を使い、ほぼ完全な毛包の構造が再現されたのだそう。これはこれまでの研究より完全に近い再現で、まだ効率などの面で開発途上ではあっても、ヒト毛包再生技術が大きく前進することになるでしょう。
なぜ、この研究でヒト毛包が再生されたのでしょうか?
研究者たちの工夫
さて、この研究で実際に工夫されたことはなんでしょう?
・新生児のケラチノサイトを使った
・使用する前に毛乳頭の毛誘導能を反映するマーカーの発現を調べ、強く発現する細胞を使った
・擬似的に皮膚の三次元構造を再現した人工皮膚のような構造を作り、安定化させてから免疫不全マウスに移植した
・従来の毛包再生実験と比べ、組織を移植してから5〜6週間という長い時間を経てから毛包が再生しているかどうかを調べた
もっとわかりやすく言えば、若くて組織を作る能力があるケラチノサイトと、慎重に選んだ毛乳頭細胞をヒトの皮膚に似たように配置させて、ゆっくりと時間をかけたということでしょう。
ケラチノサイトとは、表皮の大部分を占める角化する細胞のこと。ただし、培養し続けたケラチノサイトでは毛包再生に適していなかったそうです。
再生医療を実現するには?
普通のケラチノサイトと毛乳頭細胞でヒトの毛包ができたことは事実ですが、頭皮のサンプルは限られており、しかも大人のケラチノサイトを新生児なみに若返らせることは困難です。
再生医療を実現させるには、1つの毛包からたくさんの毛包を作り出せる技術が必要になります。素材調達が容易でないので仕方ありませんが、これも含めて研究されていくことでしょう。
毛包が人工的に再生できるようになったら、ますます薄毛の未来は明るくなりますね!新しい技術が待ち遠しいですね!
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