はじまりは皮膚【皮膚の構造】

毛の成り立ちや構造を考える時、皮膚の構造を知っておいた方が判りやすいです。なぜなら、毛は皮膚が変化してできたものだから、非常に構造が似ているのです。
皮膚は表面に近い表皮層、その下にある真皮層と大きく二つの層に分かれます。

真皮層はコラーゲンとたんぱく質を主成分とした細胞「細胞外マトリックス」をちりばめたゼリーのようなもので、その中に血管や神経が緻密にネットワークを作られています。そしてこのコラーゲンは繊維状のたんぱく質で、私たちの体を構成するたんぱく質に多量に存在しています。
コラーゲンは、ほかのコラーゲン分子、または別の細胞外マトリックス成分と結びついて弾力性のある詰め物のような構造を作ります。真皮の中に散らばっている細胞外マトリックスの主なものは繊維芽細胞とよばれ、コラーゲンの合成を担っています。

表皮層真皮層の間には基底膜とよばれるすき間があり、ここには細胞外マトリックス成分が豊富に存在しています。しかしその組成は、真皮のものと比べるとかなり違い、基底膜は単純に表皮真皮とを二つに分けているのではなく、特殊な細胞外マトリックス成分のはたらきによって、表皮細胞の増殖や分化をコントロールしているのです。

<皮膚の構造>
1x1.trans はじまりは皮膚【皮膚の構造】

表皮層を構成しているのは主に表皮細胞です。
真皮とは対照的に、表皮では細胞同士がしっかりとくっつき、蜂の巣状のシートのような構造を作っています。そしてこの表皮細胞のシートは、体をまんべんなく覆っていいます。

表皮細胞の接着には、デスモゾームやヘミデスモゾームとよばれる接着装置がポイントとなります。この二つの接着装置は、細胞と細胞、時には細胞と基底膜とが強く結合されるもです。そのほかにも外部の情報を細胞内の核に伝える役割も担っています。

もしこの細胞接着が弱くなるとどうなるでしょうか?体の水分や栄養分がどんどん漏出してしまい、ちょっとした物理的刺激にも表皮細胞がはがれ落ちてしまったりと、体の恒常性を維持することが困難になってしまいます。

私たち生きているものにとって、この細胞接着がきちんと保たれることはとても大切な事なのです。

参考文献 毛髪を科学する 松崎 貴著

17

  • このエントリーをはてなブックマークに追加