「自己再生」をする毛包って、人工的にコントロールできる?

1x1.trans 「自己再生」をする毛包って、人工的にコントロールできる?
毛包は生涯にわたって髪の「生え替わり」のプロセスをくり返します。これは、毛包に長年にわたる自己再生を可能にする大元となる細胞の存在を示しているのではないかと考えられてきました。

もし、毛包を人工的に再生することができれば、脱毛治療にとって革新的なことですね!

毛包の役割

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毛には「毛周期」というサイクルがあって、これは毛包が自分自身を部分的に壊しては新しく作り替える「自己再生」をくり返していることで起こります。

つまり、毛包の「再生」の時に毛が抜け落ちるという訳です。成長期にある毛髪は、毛球部と呼ばれる部分で作られます。毛を作る司令塔、毛乳頭の上に、毛母細胞があり、非常に増殖能力が高く、毛髪をどんどん製造します。

ところが、細胞が増殖する力にも限界があるため、成長期が数年続くと毛包はこの工場の「入れ替え」を行うのです。この時何が起こっているのかというと、毛包の真ん中あたりにあるバルジから下が、あらかじめプログラムされていたかのように細胞死するのです。

バルジ領域に存在する幹細胞

難しい用語が飛び出してきますが、バルジとは簡単に言ってしまえば発毛司令塔で、2つの幹細胞が細胞分裂をすることで、毛母に細胞の元を提供しています。そして、毛補細胞が毛乳頭から栄養を受け取ることで、髪が成長するという訳なのです。

髪の成長に欠かせないバルジ領域ですが、マウスの実験で毛包のバルジ領域に幹細胞があることがわかりました。これを生きたまま取り出せたら、再生能力を使うことができるかもしれません。もちろん、バルジの幹細胞を生きたまま取り出す技術が、マウスで考案されました。

バルジの幹細胞の能力

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マウスでは生きたままバルジの幹細胞を取り出すことに成功。これらの細胞は、通常の毛包と比較しても高い増殖能力を持ち、毛包だけでなく脂腺や表皮まで再生する力を持つこともわかりました。まさに、毛包を再生するのに理想的な素材です。

その後の研究で、ヒトでもバルジに同様の幹細胞が存在することが明らかとなり、さらに研究は進んでいます。ヒトでもこの技術を利用した薄毛改善の事業がはじまろうとしているようです。

薄毛の研究は日々進み、より安全で確実な方法が見出されようとしています。毛包の自己再生能力、本当に魅力的ですね!

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