発毛?脱毛?男性ホルモンのパラドックスを解明!

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男性ホルモンが男性型脱毛症に大きく関わっていることはわかっています。一方で、思春期になると生えてくるヒゲや脇毛などの発生にも、男性ホルモンが関わっていることがわかっています。

さて、男性ホルモンは、一体発毛させるのでしょうか?それとも脱毛させる?そのパラドックスに迫ってみました。

パラドックスとは・・・

正しそうに見える前提と、妥当に見える推論から、受け入れがたい結論が得られる事を指す言葉である。

wikipediaより
「逆説」とか「矛盾」と意味が近いです。

男性ホルモンのパラドックス

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毛の発育に対する男性ホルモンの作用は、毛髪でもヒゲでも「毛乳頭細胞」がターゲットになっています。

でも、男性型脱毛症を起こす人には、男性ホルモンは発育を抑制するシグナルを出すのに、ヒゲでは毛の発育を促進するシグナルを出すのです。

このパラドックスにより、脱毛を発育に変換するメカニズムがわかるかもしれませんね!

男性ホルモンと毛乳頭細胞の実験

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男性ホルモンのパラドックスを、試験管内で起こす実験がありました。

1つはヒゲの毛乳頭細胞に男性ホルモンを入れ、
もう1つには男性型脱毛症を起こす前頭部の毛乳頭細胞に男性ホルモンを入れました。

すると、やはり身体の中で起こるように、ヒゲの方は細胞の増殖が促進され、前頭部の方は増殖が抑制されたのです。

この実験により「毛乳頭細胞から何らかのシグナルが出ている」ということがわかってきました。

パラドックスを起こす因子が判明!

ヒゲの毛乳頭細胞では、男性ホルモンが増えるとIGF-Ⅰという因子が出ます。

前頭部の毛乳頭細胞は、この時「TGF-β1」という因子が出て、細胞が増えるのを強力に抑制したり、アポトーシス(細胞の死)を引き起こしたりさせていることがわかりました。

実際に、この因子をマウスに打つと、脱毛が起こったそうです。このことから、男性ホルモンによって毛乳頭細胞から分泌されるTGF-β1が脱毛の重要なカギを握っていることがわかりました。

男性ホルモンのパラドックスに着目した実験、いかがですか?これによって男性型脱毛症の因子が判明し、治療薬の開発も急速に進んだそうですよ!

※参考資料「毛髪科学最前線」P38−41

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