遺伝子が担う、毛髪の謎とは?

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将来 薄毛になるかどうか?は、遺伝であると長い間信じられてきました。実際、遺伝によるものが大きいこともわかってきています。では、遺伝子は、毛髪にどのように関わっているのでしょうか?そのしくみと謎をご紹介していきます。

毛を作る遺伝子がある?

生物学的に「発生」というしくみを見た時、細胞が大きく変化して起こります。毛髪でいえば、皮膚型の表皮細胞が毛芽細胞になる……というように、もともとは皮膚になるところに、何らかの作用があって毛髪へと変化すると考えられます。

その変化を起こすのが遺伝子。

毛髪の形成へ関わっている遺伝子は、多くが発生から分化過程まで関わっていると推測されています。つまり、これらの遺伝子の役割が解明できれば、毛包を誘導したり、毛周期を調節したりできるようになるのではないか?ということですね!

「ソニックヘッジホッグ」という遺伝子

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皮膚の表皮細胞が毛芽細胞に変化した時は、まだ見た目の変化は起きません。しかし、この時はたらき始めるのが「ソニックヘッジホッグ」という遺伝子なのです。これは分泌性のたんぱく質で、神経や手足ができる時にもはたらいているとされています。

毛包を作る場合には、細胞が別の種類の細胞に変化するきっかけを作っていると考えられています。

また、増殖因子や受容体を活性化するはたらきもあると見られており、毛芽が成長する時にも役立っていると思われます。

「エルイーエフ1」という遺伝子

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もうひとつ、毛髪に深く関連した遺伝子が「エルイーエフ1」という遺伝子です。これは転写調節因子のひとつで、遺伝子が働くための情報を転写する働きをしているのです。つまり、遺伝子がいつどこではたらくか?をコントロールしているのです。

エルイーエフ1は、毛包誘導そのものにも関わっているようで、この遺伝子を表皮細胞に発現させてみた遺伝子操作実験では、毛の生える間隔が乱れたり、本来は毛のない口の中に毛が生えたりしました。

まだ遺伝子の分野はわかっていないことが多いのですが、研究によってわかったことは、次々と商品化されています。元々皮膚だったところが毛髪に変化するなんて、本当に神秘的ですよね!

参考文献 毛髪を科学する 松崎 貴著

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