円形脱毛症は、なった人にしかわからない大変な部分があります。自然治癒するような軽症ならよいのですが、脱毛症状が拡大すると社会生活に大きな支障が出てきてしまいます。そんな時、どのように対処したらよいのか、また今後の治療や社会的な問題についても述べていきます。
強い味方、ウイッグ
2015年4月に、医療用ウイッグとその付属品についてJISS9623が制定されました。近年は大手のウイッグメーカーも円形脱毛症などの毛髪疾患に対するウイッグに力を入れており、脱毛症で悩む患者さんも安心してウイッグを使うことができるようになっています。
美容院やメーカー運営のサロンなどでは、個室で個別に対応しているところも増え、長期的に使用する際の劣化やメンテナンスにも対応してくれます。
ウイッグをおしゃれと捉え、色々なヘアスタイルをウイッグで楽しんでいる人もいます。
外出や人と会うことにも積極的になれますので、思い悩むようなら、ウイッグを味方につけてみてはいかがでしょうか。
患者同士のコミュニケーション
円形脱毛症は、全国的な患者会もあります。患者会では、専門医が講演会をしたり、患者同士がコミュニケーションをとり、情報交換したりしています。食事会、キャンプや旅行といったお楽しみも行われているようです。
円形脱毛症は、悩みを打ち明ける場がなかなか見つからず、精神的に引きこもりがちになるケースも多いそうです。そんな時、同じ円形脱毛症の悩みを共有できる仲間に出会えることで、気持ちが明るく前向きになるきっかけになるかもしれません。
学校や社会生活でどうしているか？という、患者でなければわからない悩みを打ち明け合う場として、有効に活用してみてはいかがでしょうか。
円形脱毛症の今後の課題
円形脱毛症の治療は、研究によって進歩しています。とはいえ、円形脱毛症に対して、踏み込んだ検査や治療を行ってくれる病院やクリニックが少ないことも現状。
また、社会での脱毛症に対する理解は低く、たとえば学校でのウイッグ使用が認められないといった事実もあるようです。
こうした医療・社会の両面から、今後脱毛症への理解を深め、見た目だけでなく患者の心の痛みもサポートできるようになっていくといいですね。
円形脱毛症は、患者本人は辛く、外出もままならないほど精神的な負担が大きいものです。理解されていないことも、患者さんの痛みになりますから、周囲の理解は大切ですね。
※薄毛の科学 P86-88
