男性ホルモンはパラドックス?毛の運命を左右する理由とは?

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ある部分では男性ホルモンは毛を濃くするのに、ある部分では薄くするパラドックスにも見える現象。

一体、どうしてそのような真逆の反応が起こるのか、メカニズムを見てみましょう。

男性ホルモンの実験

毛の発育に男性ホルモンが大きく関与していることはわかっていました。
そして、それが部位に関わらず毛乳頭細胞で作用していることもわかっています。しかしながら、男性型脱毛症では、男性ホルモンがヒゲには発育を促す方向に働くのに対し、前頭部では発育を抑制する方向に働くという矛盾が起きるのです。

試験管の中で、毛乳頭細胞と表皮を角化させる細胞を一緒に入れ、そこに男性ホルモンを入れた時に何が起こるかの実験が行われました。

すると、ヒゲの毛乳頭を入れたほうでは、角化細胞の増殖が促され、前頭部の毛乳頭を入れた方では角化細胞の増殖が抑制されたのです。
この実験によって毛乳頭細胞が何かのシグナルを出しているのではないか?ということがわかってきました。

毛乳頭細胞のシグナル

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同じ毛乳頭細胞でも、ヒゲと前頭部の毛乳頭細胞では、男性ホルモンの作用の仕方が逆になりました。これは、部位によって毛乳頭細胞が出すシグナルが違うということが言えます。

実際に、ヒゲの毛乳頭細胞から出る成長因子は、角化細胞を刺激して毛の成長を促すことがわかりました。

反対に、前頭葉の毛乳頭細胞から出る成長因子は、男性ホルモンが増えると角化細胞が増えるのを強く抑制したり、細胞に死を起こさせることがわかったのです。

男性型脱毛症の未来に大きな進歩

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この毛乳頭細胞から出る成長因子の違いは、男性型脱毛症の発症メカニズムを解明し、治療薬の開発を飛躍的に進化させました。

前頭葉にある毛乳頭細胞から出た成長因子をマウスに投与したところ、脱毛が起きたことからも、この毛乳頭細胞から分泌される成長因子が重要なカギを握っていることは確かです。
これらのメカニズムがわかってきたことで、今は男性型脱毛症のよい治療薬があるのですね。

毛乳頭細胞は、部位によって作用の仕方が違うのですね。発毛のシステムは本当に興味深いです!

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