毛髪の一番中心にある芯の部分を「毛幹」と呼びます。
これは毛の本体とも言うべき部分で、わたしたちが毛髪と呼んでいるものです。
今回は、毛幹について詳しい構造を見ていきましょう。
毛幹の内側「毛髄」
「毛髄」とは、毛幹の組織のうち、一番内側にある組織です。たくさんの泡が集まってできていて、まるで蜂の巣のような構造をしています。
繊維状のタンパク質の複合体が主成分で、毛髄の外側はうろこ状のキューティクル(毛小皮)が覆っています。
毛髄は角化すると空洞になるためその中に空気がため込まれて泡のような状態になります。これは寒冷地の動物で特に発達していて、保温の役割があるのではないかと考えられています。羊毛が暖かいのは、毛髄が発達しているからなのですね。
しかしながら、人間の毛では毛髄は角化の途中で消失してしまいます。
毛髄とキューティクルの間「毛皮質」
毛幹を構成する部分で、毛髄と毛小皮の間にあるのが「毛皮質」と呼ばれる部分です。これは繊維状タンパク質をたばねたような構造で、主成分はヘアーケラチンです。
このヘアーケラチン内のアミノ酸が化学結合して強固に結びつき、毛幹にコシとしなやかさが生まれます。つまり、髪の美しさに繋がっているのですね。
ちなみに、パーマがかかる理屈は、このケラチン分子の結合を人為的に変えることによって髪の形を変えるという技術です。
キューティクル(毛小皮)の役割
毛小皮は毛幹の一番外側に瓦が重なったような形状で存在します。角化細胞が薄くなってうろこのように重なり合った構造で、毛髪を物理的な刺激から守ったり、ダニなど寄生虫の侵入を防いだり、さらには体表の水分が流れる方向を調節したりしていると考えられます。
キューティクルがはがれ落ちてしまうと、内部の毛皮質が直接外部にさらされるので、髪が傷む原因になるでしょうが、毛皮質はかなり丈夫なので、それだけでは問題は発生しません。
髪が傷むのはキューティクルの剥落だけでなく、毛皮質自体に問題があると考えられています。
わたしたちが「髪」と呼んでいる部分は、このような構造になっているのですね。髪が傷むのは、やはり髪が生まれる時に問題があるようです。
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