さて、このシリーズも第四段階まできました。最初の衝撃→防衛機制→最初の気づきにつづく4番目の段階では、どのような状況になるのでしょうか。
一見よくない状況に見えるものでも、実は乗り越えるためには必要な段階だったりすることもあります。プロセスを焦らず、じっくり見つめていきましょう。
外に向かう敵意
脱毛症になった患者さんが辿る5段階のうち、四段階目は「敵意」です。つまり、脱毛症が人生に与える多大なる影響がわかったくるにつれ、外の世界に向けた激しい怒りが湧くのです。
「どうして私だけ!」「不公平」「どうして髪がそんなに大切?」と、脱毛症が理不尽に思えて自分以外へ怒りを向けるのです。
確かに、世の中を見回すと、テレビや雑誌インターネットの中では情報があふれ、その中には少なからずヘアスタイルのことについて触れています。目に触れないようにすることは不可能に近いので、怒りも増幅するのですね。
周囲に対する腹立ち
何もメディアだけでなくとも、友人が髪を切った、美容院へ行くといった話題があちこちで出ます。道行く人には髪の毛があり、ヘアスタイルを楽しんでいることが、無性に腹立たしくなるのですね。
嫉妬や腹立ちを、医師や看護師、家族に話したところで、彼らには髪の毛があることで、時々責めてしまうこともあります。
直接的に人の批判、批難、かんしゃく、暴力をふるうなどして表すこともあれば、間接的に周囲のサポートを拒絶したり、治療を拒否したり、いらいら、忘れようとするなどといった表出をすることもあります。
反面、エネルギーも湧く
こうしていつも怒りを発散している時期にいる人は、周囲から見ればいつもイライラして敵意がむき出しで、困った人に映ってしまうのですが、実は心理学的には正常で自然なことなのだそうです。
多くの困難に立ち向かわなければならない脱毛症の患者さんは、これからエネルギーが必要になります。
こうして怒りを吐き出すことで、エネルギーも湧いてくるのだそうです。確かに、怒るというのはエネルギーのいる行為ですよね。周りに第四段階にいる方がいたら、これもエネルギーのために必要なのだと、理解しましょう。
怒りに満ちている人を見たり側にいたりするのは辛いことですが、これも脱毛症を受け入れるための必要な段階なのですね。お互いにそれがわかっている方が乗り越えやすいですね。
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