女性の薄毛で一番多いのは、男性型脱毛症です。女性が男性化したからそうなるのではなく、女性も元々男性ホルモンを持っており、男性が薄毛になるメカニズムと同じメカニズムで発症するのです。ではなぜ、男性には有効なフィナステリドが、女性には効かないのでしょうか?
女性の男性型脱毛症とは?
男性ホルモンのテストステロンがⅡ型の5α-リダクターゼによって変化し、変化したジヒドロテストステロンが毛乳頭細胞に作用して起こるのが男性型脱毛症です。
女性でも同じことで発症しますが、女性の場合は、卵巣や副腎で男性ホルモンが作られており、血中男性ホルモンの値は男性の10分の1あります。だから、思春期にはワキ毛や陰毛が発育するのですね。しかし、この男性ホルモンの影響で、女性も男性型脱毛症になるのです。
女性の男性型脱毛症の特徴
男性の場合は前頭部、頭頂部の脱毛が目立ちますが、女性の場合は多くの人が頭頂部のみが脱毛し、生え際にあまり影響は見られません。
女性は女性ホルモンの分泌が減ってくる30代後半から更年期にかけて発症する人が多く、相対的に男性ホルモン過剰になることで発症しやすくなると考えられています。
ただし、男性型脱毛症になった女性の血中男性ホルモンを調べても、特別に高いというわけではないそうです。どういう女性が男性型脱毛症にかかりやすいかも、まだまだ研究段階のようです。
女性にフィナステリドが効かないのはなぜ?
まだ推測の域にすぎませんが、女性にフィナステリドが効かないのは、女性の頭頂部の毛包ではⅡ型の5α-リダクターゼがあまり働いていないことが考えられます。
男性の場合、この5α-リダクターゼが頭頂部で働いているので、フィナステリドが効果的なのですね。男性用の育毛剤や養毛剤は、女性の薄毛に効かないのは、こうした薄毛になる要因が違うことにあるようです。
女性にとって薄毛になるというのは人生の一大事でしょう。市販の男性用育毛剤を不用意に使うのはおすすめできないこともあります。気になるようなら皮膚科を受診してみましょう。
※毛髪科学最前線 P140-142
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