ある日突然、自分の頭部に脱毛部分があることに気付くことも多い円形脱毛症。
その原因は、長らく精神的ストレスだと言われてきましたが、子どもにも発症することから疑問視され、長年の研究により明らかになってきたことをご紹介します。
長期の治療を必要とすることも多いので、原因を知っておくことは大切です。
自己免疫説
この説は、体内で自分が持っている毛球の細胞が異物と間違えられ、それを排除しようとして壊してしまうために、成長期の毛の毛球が破壊されて脱毛するというものです。
異物に対して抗体をつくり、次に同じ異物が入ってきた時に抗体と結びついて起こる反応がアレルギーですが、自己免疫の場合は、Tリンパ球という異物を排除する免疫機能によって起こります。
治療の過程で白髪が生えてくることがありますが、黒みを帯びてくるとまた脱毛が始まることから、色素細胞中のメラニンがターゲットにされているのではないかという見方もあります。
末梢神経異常説
円形脱毛症の毛根のまわりの末梢神経には異常が見られ、感覚が鈍くなります。患部は白っぽくなり、こんにゃくみたいで毛細血管が見えません。
冷水負荷テストをすると、正常なら冷水に5分浸しても、7分程度で元の温度に戻るのですが、円形脱毛症の人は元の温度に戻るのに30分近くかかるといいます。
つまり、正常な皮膚の血液循環ができず、毛乳頭への栄養補給が十分に出来ない状態なので、脱毛しているのではないかというのです。
頭皮の神経説
頭皮の神経へのブロック療法が、円形脱毛症を治したという1970年頃の報告があります。大後頭神経と小後頭神経のブロック療法により、後頭神経とほぼ平行に走っている動脈の自律神経の緊張をゆるめると、皮膚温が上がり、動脈が拡張して血流が良くなり、毛乳頭にも血液が行き渡って毛母細胞へも栄養がいくようになったというのです。
ちなみに、神経ブロック療法とは、痛みをなくす方法として用いられる方法です。
円形脱毛症の原因はひとつだけではなく、いろんな原因が組み合わさって起こりますが、主には自己免疫であると考えられます。
ストレスだけのせいにせず、本当の原因を探してみるのが治療への早道です。
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