見た目で診断されることの多い円形脱毛症ですが、実はほかの疾患と区別がつきにくいものもあります。
近年では「ダーモスコピー」という医療用拡大鏡が広く使われ、非常に有効な診断ができるようになりました。円形脱毛症と似た症状のものを、どう区別していくのでしょうか?
ダーモスコピーが大活躍
ダーモスコピーは、元々は皮膚腫瘍を見るために開発された拡大鏡で、脱毛症の毛髪を観察するのに大変有用です。円形脱毛症の病変部には「感嘆符毛」という非常に特徴的な毛があります。
これは皮膚の表面に見えている毛が、根元に向かって細くなる現象で、急性期の円形脱毛症によく見られるのです。
また、慢性期の脱毛斑に見られる黄色い毛穴「黄色点」は、男性型脱毛症の26%、女性の男性型脱毛症の10%にも見られますが、円形脱毛症では無数に観察されるという特徴があります。これもダーモスコピーによって判別がつくという訳です。
円形脱毛症と判別しにくい例
判別が難しい例としては、「抜毛癖」があります。これは自分の毛を自分で抜いてしまうという疾患で、思春期前後の女子に多い病気です。幼児に見られることもあります。
脱毛した部分が人工的に見えることで抜毛癖を疑うこともできますが、患者本人が否定したり、自覚がない場合もあるのです。また円形脱毛症と合併していることもあるため、本人の日常生活や精神的なストレスなどを徐々に明らかにし、さらにダーモスコピーで観察すれば、引き裂かれた毛髪を簡単に見つけることができます。
このように、目で見るだけではわからない小さな病変を、ダーモスコピーによって見つけられ、診断の重要なツールとなっています。
ダーモスコピーでもわからない時は?
ダーモスコピーで見ても診断がつきにくい場合は、「生検」という検査を行います。生きた細胞を切り取って、どんな変化が起きているのかを観察して検討する検査です。実はこの検査は、受ける側はちょっと怖いです。
局所麻酔を打ち、直径4〜5㎜の皮膚組織をくり抜くからです。ただし、生検によって正しい診断ができ、より効果のある治療を受けられることは間違いないでしょう。
ダーモスコピーは、脱毛症の診断で大活躍しているのですね!生検は怖いですが、麻酔をしますので大丈夫です。正しい診断をしてもらいましょう!
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