円形脱毛症の患部は、成長するはずの毛の毛根(毛包)に「自己免疫反応」という炎症反応が起きています。
毛包の何かに、自分のリンパ球が自己免疫反応を起こす…つまり、自分で自分を攻撃してしまい、毛の組織が障がいを受けて脱毛してしまうのです。
では、円形脱毛症で白髪が増えるワケはなんでしょうか?
ターゲットはメラニン色素
円形脱毛症によくある症状では、治ったと思ったら、生えてきた毛は白髪だったり、黒い毛ばかり抜けて白髪は残ったり、脱毛した場所の皮膚が白くなったりします。
この現象から、円形脱毛症はメラニン色素と関連が深そうだと予想できますね!
円形脱毛症は、自己免疫反応だと言いましたが、そのターゲットがメラニン色素に関わるたんぱく質であるために、このようなことが起こるのではないかと考えられます。
つまり、治りかけの毛でも、毛根ではすぐにメラニン色素が作れず、円形脱毛症が治ってもしばらくは白髪が生えてくるという訳なのです。
もともとの白髪は攻撃対象外
円形脱毛症を引き起こす自己免疫反応は、メラニン色素をターゲットにして攻撃するので、もともとメラニン色素の少ない白髪は攻撃しません。
だから、黒い毛ばかり抜けて白髪は残ります。なんとも皮肉な結果ですが、このことからもメラニン色素が円形脱毛症に大きく関与していることがわかりますね。
また、円形脱毛症の場合で、脱毛した部分の皮膚が白くなってしまうのは、皮膚にある色素細胞が自己免疫反応の対象になってしまったからです。これを「白斑」と言いますが、髪の毛が生えてくるまでは少し目立つかもしれません。
円形脱毛症に合併する病気は?
自己免疫反応を起こすのが円形脱毛症の原因なので、それに合併する疾患として、多くの自己免疫疾患が報告されています。
・アトピー性皮膚炎
・自己免疫性甲状腺疾患(バセドー病、膠原病など)
・Ⅰ型糖尿病
・炎症性腸疾患
・全身性エリテマトーデス
・関節リウマチ
円形脱毛症になり、これらの病気との関連が見られたら、すぐに病院で診察を受けましょう。
また、円形脱毛症患者のうち、約半数に、親・兄弟にアトピーの素因があることも報告されています。
メラニン色素に関わるたんぱく質と自己免疫反応の関係を知って、円形脱毛症の患部から白髪が生えてくる、そのメカニズムに納得です!
ストレスが原因と思われがちな円形脱毛症ですが、他の病気との合併も考えられますので注意が必要です。
※参考文献「薄毛の科学」
80